販売業の許可は 3 種類、生活者に売れるのは 2 つ
医薬品の販売業の許可は、店舗販売業・配置販売業・卸売販売業の 3 種類に分かれています(法第 25 条)。このうち一般の生活者に医薬品を販売できるのは店舗販売業と配置販売業だけで、卸売販売業は薬局や他の販売業、製薬企業、医療機関などに販売する業態です。薬局は調剤に付随して医薬品を販売できるため、販売業の許可は不要です。
いずれの許可も 6 年ごとに更新を受けなければ効力を失います。また、薬局開設者・店舗販売業者は店舗による販売以外の方法で、配置販売業者は配置以外の方法で、医薬品を販売・授与・貯蔵・陳列してはなりません(法第 37 条第 1 項)。露天販売や現金行商のように「売り逃げ」が可能な形態を禁じる趣旨です。
| 項目 | 店舗販売業 | 配置販売業 | 卸売販売業 |
|---|---|---|---|
| 許可の単位 | 店舗ごと | 配置しようとする区域を含む都道府県ごと | 営業所ごと |
| 許可を与える者 | 店舗所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長) | 都道府県知事 | 都道府県知事 |
| 販売できる医薬品 | 要指導医薬品と一般用医薬品 | 一般用医薬品のうち配置販売品目基準に適合するもの | 一般用医薬品・要指導医薬品以外も可 |
| 一般の生活者への販売 | 可 | 可 | 不可 |
| 分割販売(量り売り) | 可 | 不可 | 可 |
| 管理者 | 店舗管理者 | 区域管理者 | 医薬品営業所管理者 |
店舗販売業: 調剤はできず、要指導・一般用医薬品のみ
店舗販売業の許可は、要指導医薬品または一般用医薬品を店舗で販売する業務について、店舗ごとに都道府県知事が与えます。薬局と異なり、薬剤師がいても調剤はできず、要指導医薬品・一般用医薬品以外の医薬品(医療用医薬品)の販売も認められません。
販売できる人はリスク区分で決まります。要指導医薬品と第一類医薬品は薬剤師、第二類・第三類医薬品は薬剤師または登録販売者です。したがって薬剤師が不在のときは、要指導医薬品と第一類医薬品を販売できません。
配置販売業: 先用後利と配置販売品目基準
配置販売業は、購入者の居宅などに医薬品をあらかじめ預けておき、使用した後でなければ代金請求権が生じない「先用後利」という販売形態です。このため、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくいこと等の基準(配置販売品目基準)に適合するもの以外は販売できません。要指導医薬品は配置販売できず、分割販売もできません。
第一類医薬品の配置販売は薬剤師、第二類・第三類は薬剤師または登録販売者が行います。配置販売はいわゆる行商の業態であることから、薬事監視の観点で店舗販売業とは異なる規制(配置員の身分証明など)が設けられている点も押さえておきましょう。
管理者の要件: 誰が管理者になれるか
店舗販売業者は店舗を自ら実地に管理するか、指定する者に管理させなければならず、その店舗管理者は薬剤師または登録販売者でなければなりません。配置販売業では都道府県の区域ごとに区域管理者を置きます。どちらも扱う医薬品のリスク区分で資格が決まります。
| 扱う医薬品 | 店舗管理者・区域管理者 |
|---|---|
| 要指導医薬品または第一類医薬品 | 薬剤師 |
| 第二類または第三類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 |
登録販売者が店舗管理者・区域管理者になるには、薬局・店舗販売業・配置販売業で、一般従事者として薬剤師や登録販売者の管理・指導の下に実務に従事した期間と、登録販売者として業務に従事した期間の合計が、次のいずれかを満たす必要があります。
- 過去 5 年間のうち通算 2 年以上(1 か月 80 時間以上従事した月が 24 月以上、または通算 2 年以上かつ過去 5 年間で合計 1,920 時間以上)
- 過去 5 年間のうち通算 1 年以上(1 か月 160 時間以上の月が 12 月以上、または通算 1 年以上かつ合計 1,920 時間以上)で、毎年度の研修に加えて店舗の管理と法令遵守に関する追加的な研修を修了している
- 従事期間が通算 1 年以上で、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある
第一類医薬品を扱う店舗で薬剤師を店舗管理者にできない場合は、要指導医薬品や第一類医薬品を扱う薬局・店舗・配置販売業で登録販売者として 3 年以上(1 か月 80 時間以上の月が 36 月以上、または通算 3 年以上かつ過去 5 年間で 2,880 時間以上)従事した者を店舗管理者にでき、この場合は店舗管理者を補佐する薬剤師を置かなければなりません。
管理者の義務と業者の義務
店舗管理者は、都道府県知事の許可を受けた場合を除き、その店舗以外の場所で業として店舗の管理や薬事に関する実務に従事してはなりません(兼務の禁止)。また、保健衛生上支障がないよう従事者を監督し、店舗の業務に必要な注意をし、店舗販売業者に対して必要な意見を書面により述べる義務があります。一方の店舗販売業者は、管理者の意見を尊重し、法令遵守のために必要な措置を講じ、講じた措置の内容(講じない場合はその旨と理由)を記録して保存しなければなりません。区域管理者と配置販売業者の関係も同じ構造です。
「管理者の意見は口頭でよい」「管理者は他店を兼務できる」「配置販売業者は要指導医薬品を配置できる」といった選択肢は、いずれも誤りです。3 つの業態を表で並べ、違いのある欄だけを重点的に覚えると、入れ替え型の正誤問題に強くなります。